夜が来た。
山の空気は、昼とはまるで別の生き物だった。昼の乾いた黄土の臭いが消えて、代わりに冷たい岩の呼気と、遠い松林の樹液と、どこかの沢の水が届いてきた。焚き火の煙が空に細く立ち上った。
三蔵はとうに眠っていた。岩壁を背にして、膝の上で両手を組み、規則正しく息をしている。猪八戒は火のそばに大きな身体を横たえて、鼻を鳴らしながら高らかに眠っていた。孫悟空は木の上で見張りをしているはずだったが、炭治郎が空を見上げても姿は見えなかった。
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