任務書が届いた瞬間、カカロットは射撃訓練の最中だった。
標的ドローンが三機、等間隔で弧を描いていた。彼はエネルギー弾を人差し指の先にだけ集中させ、三発、正確に一秒間隔で放った。金属の残骸が白い光の尾を引いて散る。焦げた金属と冷却剤の混じった臭いが訓練室に満ちた。彼はその臭いを好んでいた。目的を果たしたものの匂いだった。
端末の着信音は一度しか鳴らない。フリーザの宮殿では、二度鳴らす必要のある通信は存在しないという不文律があった。
カカロットは端末を見た。発信者コードを確認した瞬間、彼はすでに射撃の構えを解いていた。
謁見の間は常に寒かった。
これは設計上の選択だとカカロットは理解していた。フリーザ陛下の生理的快適温度が、哺乳類起源の種族のそれとは根本的に異なるのだという話は、艦隊内で半ば公然と囁かれていた。床を構成する白大理石の冷気が戦闘ブーツの底を通して足裏に伝わってくる。呼吸をするたびに、吐いた息が白く霞んだ。
カカロットは膝をつかなかった。厳密にはこれは礼儀の逸脱だったが、フリーザは彼にそれを求めたことがなかった。理由を考えたことはない。考えることが許可されていない種類の事柄だと、長い経験が教えていた。
「カカロット。待たせたわね」
玉座の奥から声が流れてきた。声そのものには温度がなかった。温かくも冷たくもなく、ただそこにある、という種類の存在感だった。音叉が発する音に似ていた。
フリーザが浮遊の端末から降りてくる。翼のような尾が大理石の床を音もなく撫でた。桃色と白の肌、額と頬の甲殻、そして何より――眼。紅と金が混じった虹彩は、常に何かを正確に測定しているように見えた。戦闘力を。有用性を。消去のコストを。
「いいえ、陛下」カカロットは言った。「私は今、来ました」
「そう」フリーザはわずかに唇の端を動かした。それが微笑みに相当するのかどうか、カカロットには依然として判断がつかなかった。「では始めましょう」
端末が宙空に投影された。星図が展開する。数千の座標が点滅し、そのうちのひとつが拡大される。青と白と緑の球体。第2814宙域、第三惑星。太陽系標準分類で「テラタイプ」に属する岩石惑星。
「地球」とフリーザは言った。「聞いたことがある?」
「ありません」
「そうでしょうね。聞く価値がないもの」フリーザの指が虚空で弧を描くと、データウィンドウが展開した。「文明レベルは宇宙基準で原始段階。最大個体戦闘力、スカウター計測値でわずか数百。技術的に星間航行の能力なし。資源は中程度。特筆事項、なし」
カカロットはデータを読んだ。読みながら計算した。軌道投入から大気圏突入まで、推定三時間。降下後の索敵に六時間。主要集落の壊滅に十二時間。残余の制圧と惑星自体の浄化処理に、念のため追加十八時間。合計三十九時間。四十八時間以内の処理は充分に可能だった。
「了解しました。通常の浄化任務として処理します」
「そうね」
フリーザは動かなかった。
カカロットは一秒待った。二秒。通常であれば、ここで任務書のデータ転送が完了し、謁見は終わる。
「陛下」
「何かしら?」
「以上でしょうか」
「ええ」フリーザは言った。「ああ、それと」
「はい」
「急がなくていいわよ。四十八時間というのはあくまで推奨値。あなたにとって、二十四番目の仕事が特別に困難だとは思えないけれど」
二十四番目、という数字を彼は口に出した。カカロットはその強調を聴いた。陛下がカカロットの処理済み惑星の数を正確に把握していることは驚くべきことではない。すべての戦闘力データと任務記録は中央サーバーに保管されていた。
しかしその数字を会話の中に持ち込む必要は、戦術的に言えばゼロだった。
「ご配慮に感謝します、陛下」カカロットは言った。
フリーザは何も言わなかった。彼は踵を返し、端末に乗り、再び玉座の高みへと静かに昇っていった。謁見は終わった。
カカロットは謁見の間を出た。廊下の白い照明が頭上で均質に光っている。彼は任務データを腕部端末に転送しながら歩いた。思考は整然としていた。ルートを確認する。装備の点検リストを呼び出す。発射タイミングを計算する。
二十四番目、という言葉だけが、わずかに引っかかった。
砂粒ほどの引っかかりだった。彼はそれに気づき、記録し、意味のないデータとして保留した。
発射坑は宮殿の下層部に連なっていた。
球形の降下ポッドは既に整備されていた。直径二メートル足らずの金属の子宮。内部には最低限の生命維持装置と航法システムと、彼の体を包む成形クッション材。快適とは言えないが、カカロットは快適さに特別な価値を置いたことがなかった。ポッドとは目的地まで届けるための道具であり、道具は機能すれば充分だった。
整備士がスキャナーを走らせながら最終チェックを読み上げている。彼は聞きながら装備を確認した。戦闘スーツの各部位を指先でなぞり、破損がないかを確かめる。スカウターをこめかみに装着する。起動音とともに緑の光が視界の端に走った。
近くに他の戦闘力反応はない。
「出発の準備ができました」と整備士が言った。
カカロットはポッドに乗り込んだ。成形材が体の輪郭に沿って変形する。ハッチが閉まる。外界の音が遮断され、代わりに発射システムの低い振動音が骨を通して伝わってきた。
暗闇の中、彼は最後の計算を行った。
二十三の惑星。
それは統計だった。任務記録の数値だった。第一の惑星から二十三番目まで、カカロットは常にそれを数値として処理してきた。座標と処理時間と戦闘力データの集積。そこに他の重量はなかった。あるべきではなかった。
宇宙は力の分布図だ、と教えられて育った。力があれば生存し、力がなければ消える。それが自然の秩序であり、フリーザ陛下の帝国はその秩序の代理執行者に過ぎない。カカロットはその体制の中で、低階級の生まれでありながら、同階級の誰よりも高い戦闘力を維持してきた。証明だ。力以外の証明は存在しないのだから、力で示す以外に方法はない。
発射カウントダウンが始まった。振動が強くなる。
二十四番目は地球。
第2814宙域。原始段階の文明。最大個体戦闘力、数百。
彼は目を閉じた。
ポッドが加速する感覚は毎回同じだった。
最初の瞬間だけ、重力が体のすべてに均等にのしかかり、それから宇宙の闇の中に射出されると感覚が反転する。無重力の浮遊感。システムが自動でナビゲーションを引き継ぎ、カカロットは航行中に覚醒している必要がない。
しかし今回、彼は眠らなかった。
理由を問われれば答えられなかっただろう。単純に眠気がなかった、という言い方が最も正確だった。彼はポッドの小さな丸窓から外を見た。星が流れる。正確には、星が流れているのではなく自分が動いているのだが、視覚的にはそう見える。光の線が尾を引いて後方へ過ぎていく。
彼はその光の線を見ながら、陛下の言葉を再び処理した。
急がなくていいわよ。
フリーザが任務に余裕を持たせる言葉を使うことは珍しかった。命令は常に明確で、効率的で、解釈の余地がなかった。急がなくていい、という言葉は――
カカロットはその思考を打ち切った。
陛下の意図を推量することは、彼の職務の範囲外だった。与えられた任務を遂行する。それだけだ。地球に降り、索敵し、制圧し、浄化する。二十三回やってきたことを、二十四回目として繰り返す。それだけのことだ。
窓の外で星が流れ続けた。
大気圏突入の衝撃が来たとき、カカロットは計算をしていた。
ポッドの外壁が大気との摩擦で赤熱する。金属が軋む。内部気温が上昇する。計器が高度と速度と突入角度を刻々と表示する。これも毎回同じだった。彼は数値を読みながら、降下後の最初の行動手順を頭の中で組み立てていた。
そのとき。
高度三千メートルを切った瞬間、何かが通気システムを通して入り込んできた。
臭いだった。
カカロットはそれを認識するのに一秒を要した。一秒というのは彼の反射神経では長い時間だ。それほど予期していない入力だった。草の臭い。水の臭い。土の臭い。そしてそれらが混合した複合的な何か、記憶も参照データも持たないのに、なぜか輪郭を知っているような気がする何か。
彼は眉をわずかに寄せた。
スカウターはいかなる異常も示していない。生命反応は地表に点在している。戦闘力は軒並み低い。脅威評価は最低値だ。
臭いは大気組成の副産物に過ぎない。酸素窒素比率と水蒸気と有機物の分解ガスが混合した、ただの化学的データだ。意味はない。
ポッドが轟音を立てて最終降下に入った。火の玉が青い空を裂く。
カカロットは目を細め、数値を読み続けた。
その臭いは、衝撃の直前まで、ずっと残っていた。