元治元年、六月に入ると、京の空気が変わった。
変わり方は、ゆっくりではなかった。
ある朝、目を覚ましたら変わっていた、という種類の変わり方だった。往来を歩く人間の目が伏し目になり、居酒屋の暖簾が暗くなる前に引っ込み、橋の袂に立つ男たちの間隔が広がった。広がった隙間に、別の何かが満ちていた。
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