翌朝、嵐は嘘のように消えていた。
港の上の空が、洗ったばかりの皿のように白かった。昨夜あれほど暴れていた雲はどこかへ流れ去り、残ったのは薄い光と、波打ち際に寄せられた何かの残骸と、まだそこにある船だった。僕は窓を開けて確認した。あの船は本当にあった。夢ではなかった。
その日の図書館の仕事は普通だった。返却本の受け付け、棚の埃を払う作業、新着資料の受け入れ処理。水曜の午後は利用者が少ない。年配の男性が漁業の法律書を読みに来て、四時間、一言も発さずに帰った。中学生の女の子が調べ物のふりをして漫画の棚を眺めていたが、特に注意する理由もなかった。
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