目覚まし時計が鳴る六秒前に、野比ノボルは目を覚ました。
これは習慣ではなく、体が鳴り響く前に諦めているだけだった。四十二年間、彼の身体はそうやって先手を打ってきた。不快なものが来る前に、すでに不快でいること。
六時十四分。火曜日。
ノボルは布団から出て、顔を洗い、トーストを焼き、食べなかった。鞄を持ち、コートを着て、鍵を手に取った。自室の机の前を通り過ぎる瞬間、何かが引っかかった。
引き出しが、少し開いていた。
昨夜は確かに閉めた。いや、閉めたかどうか覚えていない。この部屋では、何も覚えていないことの方が普通だった。ノボルは引き出しに手をかけ、引いた。
中に、ロボットがいた。
手のひらほどの大きさで、丸みを帯びた頭部、細い腕、腹部にいくつかの小さな引き出し。青みがかった金属の表面。目のような部分が閉じられており、見た目は眠っているようだった。
ノボルは三秒ほど眺めた。
それから鞄を持ち直し、時刻を確認した。六時二十二分。電車まで、あと十一分。
「起きました」とロボットが言った。
目のような部分が開いていた。光はなかった。ただ開いていた。
「ポケルと申します」とロボットは続けた。「便利屋です。未来から参りました」
声は小さく、抑揚がなく、事務的だった。挨拶というよりも、商品説明の冒頭部分に近かった。
「未来から」とノボルは繰り返した。
「はい」
「なぜ私の引き出しに」
「配置先は弊社が決定します。詳細はお教えできません」
ノボルはもう一度時刻を確認した。六時二十三分。昨日も電車に乗り遅れた。正確には、乗り遅れたわけではなく、乗ったが満員で、隣の男性のコートの臭いを二十三分間吸い続けた。小田急線の朝は、毎日そういうものだった。
「道具があります」とポケルが言った。
腹部の引き出しの一つが、音もなく開いた。中には何も見えなかった。
「私の引き出しから、様々な道具を提供することができます。初回は無料です」
「無料」
「はい」
「なぜ」
「サービスの一環です」
ノボルはポケルを見た。ポケルはノボルを見た。いや、正確にはポケルに目があるかどうかも不明だった。ただそちらを向いていた。
恐怖は来なかった。来るべきだったかもしれないが、来なかった。昨日の会議で課長に書類の不備を指摘されたとき、ノボルが感じたのと同じ感覚だった。驚くべき事態に直面して、驚く気力がすでにない、という感覚。
「通勤が嫌です」とノボルは言った。
言ってから、自分で少し驚いた。要望を口にするつもりはなかったのに、出てきた。
「どのような点が」とポケルが尋ねた。
「全部」
ポケルは一秒間、静止した。
「承りました」
腹部の別の引き出しが開いた。今度は中に何かあった。名刺より一回り小さな、白いカード。ポケルはそれをつまみ、ノボルに差し出した。
「ダイヤ調整カードです。これを胸ポケットに入れて改札を通過すると、その日の電車のダイヤがお客様の動線に最適化されます」
「最適化」
「乗り遅れません。混雑を回避します。所要時間が短縮されます」
「そんなことが」
「できます」
ノボルはカードを受け取った。厚みがなく、軽く、何も印刷されていなかった。普通の白紙に見えた。
「本当に効くのですか」
「はい」
「根拠は」
「試していただければわかります」
これ以上の説明はないようだった。ポケルは待っていた。待つことに慣れた機械の静けさで。
ノボルはカードを胸ポケットに入れた。他に選択肢がなかったわけではないが、電車が嫌いで、カードが手の中にあって、時刻は六時二十五分だった。
「ありがとうございます」とポケルが言った。「引き出しは元の場所にいます」
「帰らないのですか」
「お客様がご利用になる限り、ここにいます」
「利用しなければ」
「その場合も、しばらくはここにいます」
それだけ言って、ポケルは目のような部分を閉じた。眠ったのか、待機しているだけなのか、区別はつかなかった。ノボルは引き出しを閉めた。鞄を持ち直し、部屋を出た。
駅まで歩く間、空は白く濁っていた。排気ガスと湿気が混ざった、十一月の朝の臭い。前を歩くスーツの背中が、いくつも連なっていた。信号が変わる前に渡れるかどうか、いつも微妙な横断歩道も、今日は余裕で青だった。
改札を通った。いつもの時刻より三分早い電車が、ホームに滑り込んでくるところだった。ドアが開いた。中は空いていた。ノボルは座席に座った。隣には誰もいなかった。
電車が動き出した。
窓の外の風景が流れた。いつもと同じ景色だったが、速度が少し違うように感じた。あるいは、自分が少し違う場所に立っているだけかもしれなかった。
ノボルは胸ポケットに手を当てた。カードの存在を確かめた。
それから窓の外を見て、それ以上のことは何も考えなかった。