エレンがプロール地区の古書店の前を通ったのは、偶然だった。
少なくとも、最初はそうだった。
省庁隣接の現場から解放されたのが日没前で、クロフォードの店まで最短距離を歩けばいいだけだった。しかし二週間かけて少しずつ把握した裏道のうちの一本に、石畳の割れた小路があり、その奥に、ガラス窓に黄ばんだ本が積み上げられた店が半分口を開けていた。看板の文字はまだ読めなかったが、本の形は読めた。
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