帰還は、出発より静かだった。
壁外の十日間は、帰路に近づくほど人の声が減る。疲労のためではなく、あの向こうにいた自分と、この向こうにある壁の中の自分とを、どこかで折り合わせる作業が始まるためだと私は思っている。誰もそうは言わないが、みんなが少し顔を前に向けて、視線を遠くに置く。馬の蹄音だけが一定で、あとは風と草の擦れる音が続く。
ウォール・マリアの門が見えたとき、私は何も感じなかった。
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