巡礼路から戻ったのは、夜明けの少し前だった。
霧はまだ山の腹にかかっていた。行灯の火が一つまた一つと消えていった後、その存在は長い時間をかけて静止し、それから霧の中に溶けるように消えた。消えたというより、霧そのものになったような消え方だった。凛太郎は最後まで膝をついていた。立ち上がったのは、音羽が白い杖をゆっくりと引き上げたのを気配で知ってからだった。
三人は山道を戻った。言葉は必要なかった。
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