山は沈黙で出来ていた。
幽谷の岩壁は朝ごとに霧を吐き出し、霧の中で鳥は鳴かなかった。風さえも谷の奥では別の速度で動いており、沈瑶はそれを子供のころから知っていた。外の世界の風はもっと単純だと祖父は言った。方向があり、力があり、季節がある。谷の風にはそれらがない。谷の風はただ揺れるだけだ。
「揺れることと吹くことは違う」と祖父は言った。「揺れることは方向を持たぬ動きだ。剣の本当の動きは揺れに近い」
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