草原の市が立つのは、月に一度きりだった。
北方の諸集落が示し合わせたわけでもなく、長い習慣の堆積として、秋の終わりが近づく頃になると街道の交差点に幌馬車が集まり、家畜の声と干し肉の匂いと酒の蒸気が混じり合って、しばらくの間だけひとつの場所が世界の中心になった。霍淳がそういう市に来るのは、老鶴に連れられた最初の年以来のことだった。
「何かが必要なわけでもないのに来るんですか」
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