霧は夜明けになっても晴れなかった。
長江の水面は白く閉ざされ、岸から五間先が見えなかった。その中を、呂蒙の舟団は音もなく進んだ。舫い綱を解くのにも、櫂を漕ぐのにも、声は一切出さなかった。呂蒙はその沈黙を、出発の前夜に命令として下していた。声を出した者は斬る、と。命令に従ったのは恐怖からではなく、兵たちがその命令の意味を理解していたからだった。
白衣の兵は、商人に見えなければならなかった。
Create a free account to unlock all chapters. It only takes a few seconds.
Sign In FreeCreate your own AI-powered novel for free
Get Started Free