道堂洋が最初の異変に気づいたのは、水曜日の朝だった。
議員会館の廊下で、秘書の永野が近づいてきた。永野は三十二歳で、道堂が八年前に拾い上げた男だ。正確に言えば、選挙前の後援会名簿整理を手伝わせたところ、誤記を七十三件発見した。道堂はその数字を覚えている。七十三件という数字が、使える人間の証明だった。
「先生、少し時間をいただけますか」
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