研究科長の旧部屋のドアノブは、あの夜から何も変わっていなかった。
冷たかった。金属の感触だけがあった。
悠人は北棟四階の廊下に五分間立っていた。ドアには新しいプレートが貼ってあった。「会議室B」と書かれたラミネート加工のシール——おそらく先週か今週に貼られたばかりで、角がまだ浮いていた。誰かが空白を埋めることにしたのだ。空白は、人を不安にさせる。
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