秋が、深く、なった。
五丈原の朝は霧の中から始まった。渭水の川面から湿った空気が這い上がり、陣幕の裾を濡らした。兵たちは焚き火のそばで身を寄せ合い、北から来る風が夜のうちに変わったことを、肌で知っていた。夏の戦場の臭いが消え、枯れ草と泥と、遠い雨の予感が混じった風になっていた。
孔明はその朝も、夜明け前から机の前にいた。
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