章武二年の冬が終わり、春が来ても、劉備は白帝城を動かなかった。
孔明からの使者は三度来た。四度目が来る前に、劉備は自ら文机に向かい、短い返書を認めた。体が、少し、重い。もう少し待て。それだけ書いた。使者は成都へ帰った。孔明はその返書を一読し、折りたたみ、袖に入れた。それきり、五度目の使者を送らなかった。
——孔明が五度目を送らなかった理由は、記録に残っていない。消極的な放任ではなかったと私は思う。おそらく彼は、白帝城の劉備が今どの場所にいるかを、地図ではなく別の何かで感じ取っていた。急かしても届かない距離というものがある。孔明はそれを知っていた。
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