朝が来たのは、空が白むより先に、廊下を誰かの草履が通る音がしてからだった。
透は目を開けた。寝ていた。夢がなかった。それだけで、その日の朝は少し違う感触を持っていた。
天井の木目が見えた。昨夜は見なかったはずの木目が、今は朝の薄明かりの中でただの木目として見えた。何かを形作ろうとしない、ただの木の筋。透はしばらくそれを眺めて、それから枕元の手記の断片に手を当てた。
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