
時は大正の中頃。鬼狩りの組織「暁露衆(あかつゆしゅう)」に属する若き剣士・水瀬透(みなせとおる)は、故郷の村を鬼に滅ぼされた過去を持つ。しかし透は、剣の腕よりも「鬼を斬った後、その場に残る静寂」を誰よりも深く感じ取る青年だった。鬼を討ち果たすたびに、透は彼らがかつて人間であったことを思い知る。土に還る灰の中に、憎しみではなく哀惜を見出してしまう自分を、透は持て余していた。暁露衆には個性豊かな仲間たちがいる。姉御肌の先輩剣士・桐嶋要(きりしまかなめ)、寡黙で飄々とした薬師の老人・朽木仙之助(くちきせんのすけ)、そして透とともに育った幼馴染で今は別の任地にいる少女・野々花(ののか)。物語は一つの任務から始まる。山奥の廃村に現れたという鬼は、かつての庄屋の息子だったという。透はその鬼を斬り、夜明け前の縁側に一人座り、冷えた茶を飲みながら、人が鬼になる瞬間とは何かを静かに考える。戦いの記録ではなく、戦いの翌朝の記録。血と剣ではなく、灰と記憶の物語。それぞれの胸に宿る、消えかけた灯火のような人の心を、丁寧に、ていねいに掬い上げてゆく連作短編小説。
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