蒼柳静佳は、夜が深まってからの時間を好んでいた。
好んでいる、というのは正確ではないかもしれない。少なくとも、その時間帯が最も静かで、仕事がはかどるという事実を、静佳は好意的に受け止めていた。それで十分だった。
執務室の行灯は二つ。一つは机の左隅に置き、もう一つは書棚の前の床に直接置いてある。影が二方向から差して、書類の上で奇妙に交差する。静佳はこの照らし方に特段の意味を持たせていないが、気づけば毎晩この配置に落ち着いていた。
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