朝が来たのに、夜の余韻はまだ廊下の端に溜まっていた。
凛太郎が目を開けた時、行灯はとうに消えていた。引き戸の向こうは静かで、澄江の寝息だけが薄い板越しに聞こえていた。鞴の音は止んでいた。徳蔵が鍛冶場の火を落としたのか、夜明け前のどこかで眠りに落ちたのか、凛太郎には判らなかった。
廊下の板は冷たく、座り続けた腰が痛んだ。立ち上がって、静かに身体を伸ばす。澄江の部屋の引き戸を一度だけ見て、それから土間の方へ向かった。
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