五月十五日の朝が明ける前から、上野の山は妙に静かだった。
鳥の声がしなかった。
それだけで分かる者には分かる。鳥というのは、これから何かが起きる場所を、起きる前から知っている。本能というより習慣だろう。死が積み重なった場所には特有の気配が残る。土に染みる。木の根に吸われる。鳥はその気配を嗅いで、黙って別の枝へ移る。
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