Chapter 5: Tsutsumi Aoi Asks the Wrong Question at the Right Time

堤葵はドーナツを二つ持ってきた。

チョコレートがけが一つと、砂糖がまぶされたシンプルなものが一つ。スターバックスの紙袋に入れて、図書館の閲覧室の机に音を立てずに置いた。館内規則では飲食禁止だが、堤はその規則の存在を知らない顔をするのが得意だった。知らない顔というよりは、規則そのものが彼女の世界認識に届く前に、別の何かで頭がいっぱいになっているのかもしれない。

「来てくれてよかった」と彼女は言った。ひそひそ声ではなく、図書館の空気に自然に溶け込む音量で。「鏑木くんが最近ゼミに来ない日が多いから、もしかして論文行き詰まってるかと思って」

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Chapter 5: Tsutsumi Aoi Asks the Wrong Question at the Right Time — 神様のメモ帳、悪魔の走り書き | GenNovel