月曜日の朝、誠は出勤前に歯を磨きながら、尾形健二のことを完全に忘れていた。
忘れていた、というのは正確ではないかもしれない。正確に言えば、思い出さないように努力することすら必要ないくらい、自然に頭の中から消えていた。雨の夜の気まぐれ、袋麺を食べながら書いた落書き、笑えなかった理由がよくわからない奇妙な後味。それだけのことだった。手帳は引き出しの一番下に押し込んで、その上に図書館の延滞通知の控えを重ねておいた。
図書館の開館は九時だった。
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