午後二時を過ぎた頃、悠人はキャンパスを出た。
行く場所があったわけではなかった。ただ、あの廊下にこれ以上いられなかった。透明な壁ができたみたいに、大学の建物全体が自分を押し出そうとしている気がした。それが気のせいだとわかっていても、足はひとりでに南口に向かった。
いつもの喫茶店は、駅から少し外れたところにある。チェーン店でも純喫茶でもない、どこにでもありそうでどこにもなさそうな店で、出入り口のドアに「珈琲と軽食」と書いた手書きの紙が貼ってあった。悠人が好きなのはその手書きの紙のせいもあった。主張する気があるのかないのか、よくわからないところが。
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