北棟の廊下は、昨日より静かだった。
悠人は四階への階段を上りながら、スニーカーの靴底が床に擦れる音を数えた。五十嵐の部屋は——正確には、五十嵐の部屋があったと悠人だけが知っている場所は——北棟の四階奥、突き当たりの左だった。他の教員の表示板が並ぶ廊下を、誰とも目を合わせないまま歩いた。
ドアの前で三分間立っていた。意味のない三分間だったかもしれないが、そのとき悠人には必要だった。
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