月光の届かぬ石畳の路地を、隊商の荷車が最後の角を曲がった。
月夜隠(つきかくし)の東門は、灰葉のものより二回りほど小さく、門柱の石が所々欠けていた。欠けた箇所から苔が這い、雨期の染みが扇状に広がっていた。門番は二人いたが、一人は欠伸を噛み殺し、もう一人は荷車の数を数えるだけで目を合わせなかった。
「月夜隠、か」
Create a free account to unlock all chapters. It only takes a few seconds.
Sign In FreeCreate your own AI-powered novel for free
Get Started Free