報告書というものは、死の輪郭を均していく作業だと思う。
誰かが死んだ。剣が間に合わなかった、あるいは馬が転んだ、あるいはただ運が尽きた。そういう事実を、「当該兵士は午前十時四十分、外壁南側第三区画において巨人の捕食により戦死」という文章に変換する作業が、この世界には存在する。文章になったとき、人はもうそこにいない。名前と時刻と区画番号があるだけだ。それはとても清潔で、とても悲しく、おそらくとても必要なことだった。
私はそういうことを考えながら、久世班長の報告を聞いていた。
Create a free account to unlock all chapters. It only takes a few seconds.
Sign In FreeCreate your own AI-powered novel for free
Get Started Free