翌朝、蔵の裏手の井戸端で顔を洗っていた凛太郎は、徳蔵が表の通りに誰かと立ち話をしているのを見た。
相手は旅装の男だった。若くはなかった。背中に四角い荷物を括りつけ、すでに旅の埃をまとった様子だった。二人の声は届かなかったが、徳蔵の姿勢が変わるのはわかった。いつもの、彫ったように動かない背中が、ほんの少しだけ、前に傾いた。
その傾きを、凛太郎はどこかで見た覚えがあった。
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