喫茶店の椅子は、三時間座り続けると背もたれの継ぎ目が脇腹に刺さる。
悠人はそれを今日、初めて知った。正確には、以前も感じていたはずだが、それを意識するだけの余裕が今まであったことを意味している。今はある。ある、というより、余裕以外のものが少し片付いた、という感覚だった。白石澪が去ってから四十分が経っていた。テーブルの上には、飲みかけのコーヒー(澪が注文したほうの、名前の覚えられない飲み物)と、ノートと、悠人の右手があった。
手は動いていなかった。
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