朝というものは、この建物では少々信用ならない。
光は確かに入ってくる。東の格子窓から、秋の薄い日差しが廊下に斜めに落ちる。しかしその光が何を照らしているかというと、三百年前の柱であり、百年前に張り替えた板張りであり、昨日と同じ顔をした女中たちであり、昨日と同じ速度で回る時間である。忘我の湯において朝は、新しい一日の始まりではなく、前日の続きの別名にすぎない。
わたしはこの事実を、おおむね気に入っている。
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