千花が廊下の角を曲がって見えなくなった後、わたしは少しのあいだ、その角の方を向いていた。
正確に言えば、向いていたという表現は適切ではない。わたしには目がない。顔もない。柱という形態をとっている以上、向く、という概念自体が比喩に過ぎない。
しかし比喩としてならば、確かにわたしはその角を、向いていた。
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